組織行動心理(2):「組織市民行動」を強化する要因とは?

市民行動説の問題点について対人関係の心理から分析してみましょう。市民の道徳的な意識については市民的モラルのような道徳心理の面からみることができます。例えば、ゴミが道に落ちていたときに拾う行為は道徳的なものですが、同時に自らがそのコミュニティの一員であると思えるかどうか、つまり「共同体感覚」(アドラー)の問題でもあります。

自分達の仲間関係がよければゴミがあれば拾う意味もありますが、それが弱ければ意味は薄くなり行動しないことになります。ここには”貢献”というテーマとも関係してきますが、こうした互いの関係性を越えて道徳的な価値観として清潔を重視している場合、それはゴミを拾うことが「人のすべき事」としてそれをするでしょう。

このように現実の関係性か普遍的な道徳的な価値(倫理)かという二つの分類をすることで、道徳的な行動の二つの基準がみえてきます。いずれも人間関係を重視していますが、道徳的な価値を優先するのは「信念」としての「価値主導型ライフスタイル」と定義できます。

一方、仲間や人間関係を重視している場合は「関係型ライフスタイル」です。そこに人からの承認欲求や自尊心が関係してくるはずです。そして、これは「5Q説」(日本ビジネス心理学会)を当てはめると、前者はOQ型であり後者はSQ型となります。

つまり、市民行動説の基準を考えるとライフスタイルの二つのタイプがあることがわかり、そのタイプに応じた組織改革の方向づけが次のように見えてきます。

1:「価値主導型ライフスタイル」
⇒組織改革は”理念”への共感をベースにする「理念経営」に適している
2:「関係型ライフスタイル」
⇒組織改革は”仲間”への共感をベースにする「アメーバ経営」に適している

ここでは理念経営を重視しているため、価値主導型ライフスタイルを位置づけながら、いかにして道徳的な価値意識にまで学びを深めるかを検討してみましょう。

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