組織行動心理(3):「組織市民行動」と“プロ意識”

 「組織市民行動」という概念は、企業の中で役職に関係なく他者と協力したり、全体のために自らすすんで正しい行いをすることです。これは理念を重視する経営戦略にも不可欠なものとして重視されていますが、次のような点に注意する必要があります。

1:”市民”という内容が社会学の「適応理論」がベースとなっているため、既存組織に順応すること自体が善とみなされること

2:”組織”という内容が制度・ルールなど含む”文化的”なものとしてではなく、特性を表わす”機能の集合”として捉える結果、そこにある機能が固定化されて見てしまうこと

本来の組織市民行動はその場にある組織文化と切り離せないものです。そして、組織文化は組織の「エンゲージメント」にも影響することもわかっているため、生産性とも関連することは明らかです。しかし、こうした組織の問題を組織市民行動の構図でみてしまうと、その組織の変化・発展性のリアルな姿や問題の矛盾といったことが見えてきません。

組織エンゲージメントにしても組織文化との関係を問題にするなら、どんな文化なのか、またそれがどんな人間関係を生み出すのか、そうしたことをアンケート等の“量的”な理解だけでなく“質的”にみないとその是非を論じることはできないからです。組織エンゲージメント自体が最初から「良いもの」という前提で、それを促進する要因が組織文化だとするなら一面的な見方でしかないからです。

このような組織心理に関して、組織行動論の問題は左記の3点が相互に関係しながらも、核になるのは組織と個人の関係を変革的な視点から捉えているかどうかです。そこにある組織と個人の”矛盾”に対して、どんな認識を持つかということなのです。

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